研究概要 |
対照群と電流刺激群を無作為に分け、二重盲検法にて電気走性に関する実験研究を実施した。電気刺激群では、白金電極(成分;白金99.98%)により微弱直流電流刺激条件(周波数;0.3Hz,電流強度;50,100μA,通電時間;4時間)にて、培養ディシュ内の線維芽細胞に通電した。尚、対照群は同様の設定をするが、通電しなかった。微弱直流電流刺激装置は、極性と通電時間を改良したTrio300(出力精度±30%以内,伊藤超短波株式会社製)を使用した。(神戸大学医学部倫理委員会で承認済)電気走性の活性度を確認するめの新しい手技を開発し、ディシュ(直径35mm)を活用して、培養デイシュ(直径100mm)内に線維芽細胞(細胞数;3×10^5)を均等に円状に播種し、両端に白金電極を置き、インキュベーター庫内(温度;36℃,CO_2濃度;5.0~5.5%)にて微弱直流電流刺激を実施した。通電終了直後に、蓄電効果を解消するため両極をシャントした。また、線維芽細胞凝集塊の浮遊による移動を除外するために、通電直前、直後に細胞の遊走状況を顕微鏡下で写真撮影し記録した。その結果、Scion imageソフトを活用して介入前後で移動した線に囲まれた面積を測定することにより、線維芽細胞の遊走距離を細胞群として確認することができた。線維芽細胞では、陰極側で好中球(遊走最適電流強度;60μA)より高い電流強度100μAの通電により,電気走性の亢進を推測できた。 今回の実験結果から、褥瘡の治癒過程で肉芽増殖を促進する時に、創縁に設置する電極の極性と電流強度を厳密に設定する根拠を提案することができるので、今後の臨床治療研究の基盤となるデータとしての意義がある。
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