研究概要 |
「東洋医学の未病・健康診断サービス」を受けた一般地域住民204名(男性32名,女性172名,平均年齢54.7±14.8歳)を対象に,東洋医学的病態(寺澤の気血水スコア)と健康関連QOL(SF-36スコア)を評価した。 最初に,対象を自覚的健康群(39名),自覚的未病群(113名),自覚的病気群(52名)の3群に分けて比較した(分散分析)。気血水スコア6項目のうちの5項目とSF-36スコア8項目全てにおいて3群間に有意差を認めた。SF-36スコアでは全体的健康感を示すGHスコアの差が最も顕著で,自覚的健康群39名のうちGHスコア40以上が37名(94.9%),自覚的病気群52名のうちGHスコア40未満が47名(90.4%)で,両群の判別におけるGHスコアのcutoff値は40であることが示された。 次に,自覚的未病群113名(男性14名,女性99名,平均年齢54.8±14.6歳)を,GHスコアが40点以上のGH高値群(60名)と40点未満のGH低値群(53名)の2群に分けて比較した(t検定)。気血水スコア6項目のうちの4項目とSF-36スコア8項目のうちの6項目において両群間に有意差を認めた。本研究の結果から,病気ではないが健康とも言えない未病者の状態を評価する指標として,気血水スコアやSF-36スコアが有用である可能性が示唆された。特に,SF-36の下位尺度であるGHスコアはcut off値を40に設定することで自覚的健康群と自覚的病気群を簡便に判別しうるだけでなく,自覚的未病群の重症度を判別する指標ともなりうる可能性が示唆された。今後,未病者の重症度に応じた東洋医学的発想に基づく健康づくり支援サービスを提供することによって,従来の西洋医学的発想に基づく生活習慣病対策中心の健康づくり支援サービスを補完し,相乗的な効果をもたらすことができると考えられる。 良導絡自律神経測定の結果については,気血水スコアとの相関がないことを確認しており,未病者の状態を客観的に評価する指標としての意義をさらに検討中である。
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