研究概要 |
平成20年度は, 平成19年度に開発した食事日誌記述法に基づく食事記入手帳(ポケットサイズの手帳)を用いて, その妥当性検証をおこなった。調査参加者として43名(男性18名, 女性25名)に依頼し, 参加者は食行動, 食物消費, 飲食時の体調・状況等を連続7日間記録した。 これらの食事内容を相関分析した結果, 同席者数と主観的摂取量, おいしさ, 食事の満足感は正の相関を示した。体感温度は空腹感, 食欲, 主観的摂取量, おいしさ, 満腹感, 食事の満足感と負の相関を示した。体調と気分は空腹感, 食欲, 主観的摂取量, おいしさ, 食事の満足感と正の相関を示した。 さらに, 栄養士に依頼して, 食事日誌から個々の飲食の摂取エネルギー量を計算した。この計算結果に基づくと, 個人の摂取エネルギーは日によってかなり変動しているが, 1週間という期間では個人の体重変化ならびに体調変化はほとんど見られなかった。このことから, 環境や心理的要因は1, 2日という短い期間に食事摂取(内容ならびに量)に大きく影響を与えるが, 1週間程度の期間トータルでは潜在的な要因である何らかの自律的な摂取調節メカニズムが影響している可能性があることが示唆された。今後はより長期のデータ収集が必要と考えられる。 シミュレーション課題については, 食事日誌に基づく実際の食事内容データを集積し, 任意に選択できるデータベースを構築し, このデータベースを利用して, ランダムサンプリング法でシミュレーションをおこなった結果, 実際の食事選択と同様のエネルギー摂取量が観察できた。
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