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鍛冶職人の伝統技術を数値的に把握する方法の創設へむけた基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19650256
研究種目

挑戦的萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 文化財科学
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

齋藤 努  国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (50205663)

研究分担者 坂本 稔  国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (60270401)
研究期間 (年度) 2007 – 2009
研究課題ステータス 完了 (2009年度)
配分額 *注記
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
キーワード日本史 / 金属生産工学 / 分析科学 / 文化財科学 / 卸金 / 鍛錬 / 刀剣 / サーモグラフィー / 再現実験 / 大鍛冶
研究概要

刀鍛冶職人が素材の炭素濃度を調製するために行う「卸金(おろしがね)」について、炉の構造を調査するとともに、送風機を用いた送風量の記録と赤外線サーモグラフィーによる炎の逐次温度測定を実施し、生成物の炭素濃度と金属組織を調べた。同じ火床を使って高炭素鉄の脱炭と低炭素鉄の浸炭という正反対の反応を行っている点については以下のように説明できることがわかった。すなわち、高炭素鉄(銑鉄で実験)の脱炭の際は、融点が低いため送風量を少なくし低温で少しずつ熔解させる。そして炉底を浅く設定することによって、熔けた鉄は羽口からの風がよく当たる位置に留まりある程度時間をかけて脱炭が進行していく。一方、低炭素鉄を浸炭させる際は、送風量を多くすることによって高温下で固体の鉄の中へ炭素が入っていく。炉底部を深く設定することによって、半熔融状態の鉄は羽口の前を速やかに通過し再度の脱炭が起こらず、生成物は羽口の風が直接当たる箇所よりも下の位置に溜まる。
また日本刀製作工程のうち、皮鉄の素材を作るための「折り返し鍛錬」の工程について、原料鉄の炭素濃度に応じてどのように温度調整を行っているかを調べた。軟鉄(C:<0.1%)と鋼(C:0.7%)を対象に6回ずつの折り返し鍛錬を実施してもらい、赤外線サーモグラフィーで加工時の素材の逐次温度測定を行い、中間・最終生成物の炭素濃度と金属組織を調べた。折り返し鍛錬は「仮着け」と「泥沸かし」の2工程からなるが、仮着けの際には軟鉄の方が高温で鍛着するため、鋼よりも高い温度で作業を終える傾向がみられ、また泥沸かしでは軟鉄の方がより高めの温度から作業を開始していた。折り返し直後の鍛接面には最大数十μmの厚さの介在物が点状に連なってあらわれるが、これらは折り返し回数が増えるにつれて薄くなり、また細かく分散して鍛接面が見分けられなくなる程度まで層の均一化が進むことがわかった。

報告書

(3件)
  • 2009 実績報告書
  • 2008 実績報告書
  • 2007 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 大鍛冶の炉内反応に関する実験的検証2009

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、坂本稔、伊達元成、高塚秀治
    • 雑誌名

      考古学と自然科学 59

      ページ: 29-55

    • NAID

      40016768738

    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 非破壊分析による鉄炮銃身の材質と製作技法の解析2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、高塚秀治、宇田川武久
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告 136

      ページ: 237-265

    • NAID

      120005748593

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鉄炮の威力実験2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、高塚秀治、宇田川武久
    • 雑誌名

      銃砲史研究 356

      ページ: 34-54

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] 大鍛冶の炉内反応と実験的再現操業に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、坂本稔、伊達元成、高塚秀治
    • 学会等名
      日本文化財科学会第26回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-07-11
    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
  • [学会発表] 刀剣製作における焼き入れ工程の温度条件2008

    • 著者名/発表者名
      齋藤努
    • 学会等名
      日本文化財科学会第25回大会
    • 発表場所
      鹿児島国際大学
    • 年月日
      2008-06-14
    • 関連する報告書
      2008 実績報告書
  • [学会発表] 前近代大鍛冶工程の再現にむけた予備実験(2)2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、坂本稔、伊達元成、高塚秀治
    • 学会等名
      日本文化財科学会第25回大会
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      2007-06-02
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [図書] 歴史研究の最前線12 分析科学と歴史学2010

    • 著者名/発表者名
      齋藤努
    • 総ページ数
      113
    • 出版者
      総合研究大学院大学・日本歴史研究専攻・国立歴史民俗博物館
    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
  • [図書] 鉄砲伝来の日本史-火縄銃からライフル銃まで2007

    • 著者名/発表者名
      齋藤努、宇田川武久
    • 総ページ数
      307
    • 出版者
      吉川弘文館
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www.rekihaku.ac.jp/research/researcher/member/saito_tsuto.mu.html

    • 関連する報告書
      2009 実績報告書

URL: 

公開日: 2007-04-01   更新日: 2016-04-21  

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