研究課題/領域番号 |
19651014
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
井川 学 神奈川大学, 工学部, 教授 (70120962)
|
研究期間 (年度) |
2007 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | スギ花粉 / アレルゲン / エアロゾル / PIXE / 大気汚染 / 都市環境 / Cry J1 / 花粉症 / アレルギー / 硝酸ガス |
研究概要 |
近年、都市部においてスギ花粉による花粉症患者が急激に増加しているが、大気汚染物質が花粉症症状を悪化させるとともに、花粉の再飛散を促進する都市環境が花粉症発症を助長させている可能性がある。そこで都市環境による花粉の変化について調べる目的で、飛散した花粉を採取し、微細粒子の高感度分析が可能なマイクロビームスキャニング粒子線励起X線分析法(m-PIXE)による花粉表面付着物の詳細な解析と、エアロゾル中のスギ花粉アレルゲンの測定を行った。 m-PIXEでは、測定範囲内に存在する元素の分布とその量をカウント数として知ることができる。スギ花粉表面上ではSi、S、Cl、Caといった元素の花粉表面への付着が顕著であった。P、K、Mnといった花粉にもともと存在している元素は、飛散の過程で花粉から放出されたためか、飛散前の花粉よりも含有量が減少していた。粒径10μm以上及び以下のエアロゾル中のスギ花粉アレルゲン(Cry j1)濃度を見ると、スギ花粉濃度の増加と粒径10μm以上のCry j1濃度の増加が一致している点が多くみられた。一方粒径10μm以下のCry j1は、花粉濃度の増加とともに増加してはいるが花粉濃度とは無関係に増加することがある。アレルゲンを含むスギ花粉は、直径およそ25μmであるので粒径10μm以上の粒子として花粉は捕捉されるはずである。このことは、先に述べた花粉中のP、K、Mnといった元素が、花粉飛散に伴いその含有量が減少していることとも対応している。都市部において飛散する花粉は、エアロゾルを含む大気汚染物質との相互作用により、花粉の表面特性を変えるとともに、Cry j1を微細粒子に移行させることにより、花粉症の発症を促進させている可能性が考えられる。
|