研究概要 |
研究代表者は,レーザ加熱によって,液中に配置したパラフィン・プラスチックなどの熱可塑性材料表面に微小突起を作り出す加工技術を見いだした.本研究は,この加工技術の基礎的なメカニズムの理解を目的として行った. この液中レーザ加熱による凸構造の微細加工技術は,融解や蒸発などの除去加工とは異なる方式であり,ピラーや二次元の壁構造などを短時間で作製することが可能である.構造形成には様々な要因が絡んでいることが考えられ,例えば,温度、密度、表面張力、熱伝導率、レーザパワー、照射時間などの影響が想定される.そこで,これらの要因が本現象にどのように関わっているのか,様々な条件下において凸構造形成実験を繰り返すことで,加工要因の推定と安定性の向上を行った. 具体的には,液温・材料温度の制御により,加工の安定性を向上させ,高いアスペクト比のピラーを均一に製作することに成功した.また,純水・シリコンオイル・フロリナートなど,特性の異なる液体中においてパラフィンの加工を行い,その加工形状を定量化した.そこから得られたデータを用いて材料から液体への熱伝達量との関係を検証した結果,加工された構造物の高さと熱伝達係数との間に高い線形関係を見いだした.これにより,液体の性質,具体的に は,熱伝導率・密度・比熱が本加工法に与える影響を明らかとした.また,材料に関わる性質,例えば厚み・粘度などのパラメータが本加工法に与える影響も実験を通して検討した.
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