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洪水堆積物による観測期以前の災害の復元手法

研究課題

研究課題/領域番号 19651080
研究種目

萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 自然災害科学
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

大丸 裕武  独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 室長 (60353744)

研究期間 (年度) 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2007年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
キーワード洪水堆積物 / 古水文学 / 流量 / 気候変化
研究概要

岩手県北部軽米町大鳥地区の雪谷川左岸において、地質・地形調査を行って、過去の洪水堆積物の分布と年代を明らかにした。堆積物の観察・採取には、比較的簡易に不攪乱試料を採取出来るジオスライサーを用い、部分的にトレンチ掘削を行った。その結果、すでに報告された約2300年前の洪水堆積物に加えて、約5500年前の十和田中掫火山灰の上位に褐色細砂質の洪水堆積物が広く分布していることが明らかになった。このうち、2箇所において洪水堆積物の上下の腐植層の放射性炭素年代を計測したところ、直下の腐植層の年代が5120±50YBPおよび5510±80YBP、直上の腐植層の年代が、4120±40YBPおよび4290±50YBPという値が得られ、洪水堆積物は約4500年前に堆積したことが推定された。雪川流域において1999年に発生した洪水災害(激甚災害指定)の再現期間は約200年と推定されているが、約2300年前の洪水堆積物は、1999年の水洪位よりも約1.1m高所に、約4500年前の洪水堆積物は少なくとも5m以上高所において確認され、災害時の流量はいずれも1999年の洪水を大きく上回ると考えられる。堆積物の位置を洪水位とし、河道形状や粗度係数、動水勾配などのパラメーターが不変であると仮定して、マニンク式によってそれぞれの洪水流量を概算すると、約4500年前の洪水については、1999年の洪水の8倍程度、約2300年前の洪水については1999年の洪水51.5倍程度となる。今後、より正確な流量を推定するには、多点地質調査による洪水位の絞り込みとともに、より詳細な水文学的解析が必要となる。本研究の結果、千年オーダーの時間スケールにおいては、観測記録からは想像出来ないような規模の洪水が起きていることを明らかに出来た。温暖化に伴い降雨強度が増大して災害環境が急変する可能性が指摘されている中で、地質学的証拠を用いて千年オーダーの再現期間を持つ洪水規模を評価出来る手法の見通しを得たことは大きな意義を持つと考える。

報告書

(1件)
  • 2007 実績報告書

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公開日: 2007-04-01   更新日: 2016-04-21  

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