研究課題/領域番号 |
19652017
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
金子 幸代 富山大学, 人文学部, 教授 (40224597)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 女子文壇 / 女性雑誌 / ジェンダー構成 / 女性作家 / 雑誌メディア / 小寺菊子 / 新しい女 / 青鞜 / ジェンダー / 投稿 / 地方 |
研究概要 |
女性職業作家の草分け的存在である富山出身の小寺(尾島)菊子の年譜の訂正や作品の発掘を行い、約四百篇に及ぶ資料の整理を行った。「女子文壇」への寄稿については「小寺(尾島)菊子と「女子文壇」・「青鞜」--埋もれた女性職業作家の復権に向けて」を発表し、「女子文壇」における「地方」の位置を照射することができた。さらに「女子文壇」における日露戦後から明治終焉期までの投稿の変化を分析するために、1913年(大正2)の同時代の雑誌も含め「新しい女」についての言説のジェンダー構成について文化史の視点から研究を行ない、女性の職業問題について先進的な役割を「女子文壇」が果たしていたことを明らかにした「女性雑誌と職業--一九一〇年〜一九一三年における「女子文壇」の文化史的研究(2)」を執筆した。 「女子文壇」は、「新しい女」についての特集が組まれ、雑誌メディアの中で最も議論が活発になされた1913年には誌面を刷新し、自立した書き手を生み出し育てていくと同時に女性自身がより女性の自立に向けた文章を発表できる「場」の役割を担う貴重な女性投稿雑誌であったことがわかった。「新しい女」が脚光を浴びた年にその牽引役となった「青鞜」の講演会を積極的に紹介して女性解放を論じ、さらに女学校に通える女性たちだけでなく働く女性に対しても視野を広げる誌面作りがなされている点や、他雑誌に先駆けて職業の実態を継続的に伝えるなど、これまでのジェンダーにとらわれた女性雑誌という研究の評価軸を塗り替える「女子文壇」の意義を究明する新たな知見を得た。 加えて「女子文壇」の掲載内容をジャンル別、「地方」別に整理し、創刊号から終刊までのデータベースを完成させるなどの研究成果があった。データベースは科学研究費報告書二冊にまとめることができた。今後の女性雑誌研究や女性文化史や近代日本文学史を考察する上においても重要である。
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