研究課題/領域番号 |
19652074
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小田 博志 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30333579)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 平和構築 / 歴史和解 / ドイツ / ヨーロッパ / 他者 / 市民社会 / 和解 / 文化入類学 / エスノグラフィー / 文化人類学 |
研究概要 |
平成21年4月から9月までサバティカル研修を取り、この期間に集中して本研究課題に関わる海外調査を実施した。 1ヨーロッパにおける下からの平和構築に関して、ドイツの市民団体「行動・償いの印・平和奉仕」を主な対象としてエスノグラフィー調査を行なった。またドイツ、チェコ、ポーランド等で第二次世界大戦関係の記念施設を訪問調査した。その結果次の点が明らかになった。(1)戦後ヨーロッパの平和構築プロセスは「多経路の和解」という概念枠組みにより捉えられる。(2)ドイツの市民社会アクターによる和解の特徴として、キリスト教会の組織的・思想的影響が強い。(3)強制収容所跡、ナチ関係の遺構などが平和教育の資源として活用され、「平和のインフラ」と呼べるほどに系統的に整備されている。(4)国際的なヴォランティア活動の蓄積によってトランスナショナルな市民社会が現出している。(5)ドイツ人ヴォランティアがユダヤ人のホロコースト生存者のような「歴史の他者」の声を聴く上で、実際的な仕事(自宅の窓拭きなど)か導入的な役割を果たしている。成果の一部を国際シンポジウム「日独比較研究の可能性」(東京大学)で、「市民社会と他者」の題で発表した。 2植民地支配に関しては、ドイツ国内で文献収集と関連の市民社会組織の予備調査、および旧ドイツ領のナミビアで2週間の調査を行なった。その結果、ドイツ社会にみられるナチズムと植民地支配との間の「記憶の溝」ならびにドイツとナミビア間の「和解イニシアティヴ」が興味深い研究対象として浮上した。これについては22年度以降研究を進める。 3「人類学的平和研究」の開発という課題については、私が代表者を務める国立民族学博物館・共同研究「平和・紛争・暴力に関する人類学的研究の可能性」で他の研究者と共に3回の研究会を開催し、議論した。その報告書で人類学的平和研究の体系的概観を提示する予定である。
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