研究課題/領域番号 |
19653005
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際法学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山形 英郎 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80222363)
|
研究期間 (年度) |
2007 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2009年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 住民保護責任 / 人間の安全保障 / 国家の安全保障 / 破綻国家 / テロ / 国際連合 / アフリカ連合 / 主権 / 国際法 / 民主主義 / ジェノサイド / イラク戦争 / 大量破壊兵器 / 人道的干渉 / 保護する責任 / グローバリゼーション / 国際法の公法化 / 文明国 / 阻止義務 |
研究概要 |
住民保護責任を中心概念として、「人間の安全保障」と「国家の安全保障」の関係を研究した。人間の安全保障には、日本を中心とした平和的なアプローチとカナダを中心とした軍事的なアプローチがある。前者によれば、人間の安全保障は国家の安全保障と矛盾するものではなく、相互に補完的な関係を有している。その一方で、後者であれは、人間の安全保障の優位が認められ、国家の安全保障が毀損される場合がある。とりわけ、破綻国家のような場合には、国際社会の介入が許されるとされ、破綻国家の王権=安全保障が害される可能性があるめである。しかも、そうした介入の対象となるのは、破綻国家であり、途上国を中心として中小国である。しかも、そうした介入が、介入国にとって、テロ防止の名目で行われる場合があり、被介入国の主権=安全保障を犠牲にして、介入国の主権が強化されることになる。そうした一方性が存在していることを明らかにした。 アフリカ連合では、住民保護責任概念の拡大傾向がある。また、国際司法裁判所のジェノサイド条約適用事件では、住民保護責任の影響が判決の中に出始めている。その一方、国連事務総長が作成した「住民保護責任の実施」文書によれば、国際社会が実施する住民保護責任は、国連の集団安全保障制度の枠内でのみ可能であるとされ、住民保護責任限定花が行われている。濫用を戒めているのである。住民保護責任が一般国際法上の概念として確立するまでには至っていないが、国際法上の主権概念に大きな変容をもたちす可能性をもっていることに注意が必要である。
|