研究課題/領域番号 |
19653026
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済政策
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
飯田 善郎 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (50273727)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 所得格差 / 相対所得 / 再分配 / アンケート / 経済実験 / 所有権 / アンケート調査 |
研究概要 |
格差の問題を客観的に観察される格差でなく、その格差が主観的にどう認識されているかという視点から検証する。自分以外の他者は無数にいて、全員と自分を比較する事は通常出来ない。人々が格差を意識するとき、無意識に人は自分との比較対象を選択している。その選択のありようと背後にあるメカニズムを見出すことで、人々の厚生を改善するためにはどのような格差の改善が必要となるかを見出そうとする試みが本研究である。19年、20年に行った社会人を対象とする1000名を超えるアンケート調査から人が自分と比較する他者として、1.年齢・職業を共通とする人もしくは人々、2.年齢は同じ、かつ職業に関しては特に区別されない平均所得などの統計値、が主たる比較対象として選択されることが確認された。またこれに加えて学生を対象とする被験者実験に伴うアンケート調査から、本人と年齢職業等で条件が近くとも、本人よりも所得が高い者が本人との比較対象として意識されやすく、また対象を選択できる仮定の下での質問においても、本人よりも高い所得の誰かの情報を欲するという、比較対象選択の方向性の偏りが観察された。これは客観的には低所得でないものが、自分よりも所得の高い他者に注目してしまい、その結果客観的には重大でない格差が主観的には強く意識される状況がありうることを示唆するものである。一方で、他者に関する知識の正確さを問う質問から、格差を意識する他者に対して多くの人が実はあいまいな知識や推測しか持たないことも示された。また、自らの相対的な所得への不満と、他者への再分配を求める選好が必ずしも一致しないことも明らかになった。これは、身近な他者を比較対象として想定しやすいこと、そして身近さゆえに再分配を求める対象としては意識しにくくなるという要因によるものと考えられる。
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