研究概要 |
トポロジー的手法により,材料科学の新規機能材料作成法において重要な自己組織化原理の数理的基盤,とりわけ新たな「非侵襲的数理測定法」の確立を目指すことが本研究の主題である.手法としてはComputational Homologyの有効性をポリマー系において実証することを実施した.具体的には相分離におけるトポロジー量のスケール則を数値的に示した.相分離が進行する過程をベッチ数で計って,それが時間の-1乗に比例する巾則を発見した.またブロックコポリマー系においては,非局所項の影響でミクロ相分離に移行するが,その遷移の様子もベッチ数の巾則の変化から捉えることができた.さらにパラメータを変化させたときの,ポリマー形態の遷移の様子もベッチ数あるいはオイラー数の変化により,どのような遷移状態を経て経過するか明らかとなった.例えばレイヤーからシリンダーに変化するとき,その途中に穴あきレイヤーという形状を経由することが,ベッチ数の計算より判定可能となる. このアプローチはポリマー系のように自由エネルギー最小を達成する定常状態のみならず,より一般の反応拡散系においても有効であり,それにより極めて動的かつ複雑な形態を示すものに対しても今後大きな寄与を果たすと考えられる.例えばインターミッテント的挙動をする時空カオスに対し,経由するいくつかの遷移的パターンについてより詳しいトポロジー情報が得られると期待される.以上の成果はMorphological Characterization of the Diblock Copolymer Problem with Topological Computationという題目でJJIAMに投稿した.
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