研究課題
萌芽研究
(1)ネガティブクリスタル法により氷の試料表面を作製する手法を確立した。これにより、汚染のない、面方位が厳密に規定された、分子レベルで平らな氷表面を得ることができた。また、ネガティブクリスタルの成長速度を制御することで、直径2mmサイズの表面を得ることが可能になった。(2)ファラデーセル型偏光解析装置に搭載した氷結晶容器に作成した氷結晶表面を置き、195K以下に冷却して、試料表面の偏光解析測定を行った。従来行われていたミクロトームなどによる研磨法で作成した試料表面では、明確な反射光スポットを検出できないが、ネガティブクリスタル法で作成した試料は完全な鏡面反射が実現でき、偏光解析の精度を十分確保できることが確かめられた。(3)ガラスプリズムを使用して、氷結晶表面に対するレーザー光の入射角を精密に決定し、0.01度の精度で入射角を決定できることを確認した。これにより、低温環境下での氷表面擬似液体層の精密測定実施法が確立された。(4)擬似液体層の厚みと屈折率をパラメータとして、最も簡単な一層モデルによる偏光変化のシミュレーションを行った。(5)氷結晶表面にHCIガスを吹きかけると、偏光シグナルに明確な変化が起こることが確認された。氷結晶表面に構造相変化が起きたことを強く示唆する。(6)連携研究者の佐崎は、氷/水界面での分子ステップのイメージを得ることに成功した。これは、氷と擬似液体層の問に界面構造の解析にも応用できる。(7)本研究により、低温環境下での氷の表面構造の精密解析手法を確立し、オゾン破壊物質により表面融解が促進される直接証拠が得られ、萌芽研究としての役割を十分に果たした。
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Recent Development of Chemistry and Photochemistry in Ice (ISBN=978-81-7895-3 31-1),Ed Norimichi Takenaka, (Transworld Research Network, India)
ページ: 27-48