研究課題/領域番号 |
19655018
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大久保 貴志 近畿大学, 理工学部, 講師 (90322677)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 電気伝導性 / イオン伝導性 / インピーダンス測定 / 混合原子価金属錯体 / イオン伝導体 / 電子伝導体 / 混合原子価配位高分子 / 混合原子価層間化合物 / 誘電測定 / 多孔性金属錯体 / イオン伝導 / 電気伝導 |
研究概要 |
イオン伝導体は化学物質のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する電池システムの固体電解質として利用できるため、近年の携帯電話やノート型パソコンを始めとするモバイル機器の爆発的な普及に伴い、その需要は急速に拡大している。本研究では無機・有機の複合材料である金属錯体を集積化させる事で、イオン伝導性と電子伝導性が共存する、新た混合伝導体を開発する事を目的として研究を行った。今年度は特に前年度に引き続き新規層間化合物の合成およびそのインピーダンス特性に関する研究を行った。その過程で、層間にドナー性分子であるテトラチアフルバレン(TTF)のカチオンを含む二次元層間化合物の合成に成功した。この化合物は室温で2×10^<-6>S/cmと高い伝導度を示し、インピーダンス測定による緩和時間から見積もった移動度は480cm^2/Vsに達することが明らかとなった。密度汎関数法によるバンド計算の結果、この系では臭化銅の二次元レイヤー間に二価のカチオンとしてTTFが取り込まれることで臭化銅レイヤーからTTFカチオンへの電荷移動に起因するキャリア注入が実現しており、これによって高い伝導度が発現していることが示唆された。また、室温以上で不可逆な相転移を示し、それに伴い対称性の低下と伝導性の減少が観測された。このことは上記の化合物が安定な準安定相を有しており、光等の外部電場によってキャリア制御ができる可能性を示唆している。その他、BEDT-TTFやTMT-TTFなど一連のドナー分子を用いた新規層間化合物の合成にも成功した。ただし、当初の目的であったイオン伝導系に関しては、これまで合成した化合物の一部でその可能性が示唆される結果が得られたものの、伝導機構および構造の詳細は明らかになっていない。
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