研究概要 |
新規フロー分析法「振幅変調多重化フロー分析法Amplitude Modulated Multiplexed Flow Analysis」(多重制御/フーリエ変換流量比法を改称)を提案した。本法では,細管内において,複数の試料溶液を互いに周波数の異なる制御信号で流量制御し,合流後,目的成分に応じた呈色反応などを経て下流で測定する.得られる検出信号は,各制御信号によっで振幅変調された各成分の情報を含む複雑な波形となる。しかし,これを周波数解析すれば,それぞれの振幅から目的情報を求めることができる。周波数解析の窓を時間と共に移動させることにより,リアルタイム測定も可能である。本年度は,昨年度の研究成果(プログラム・分析システム構築,多試料同時分析への応用)を基盤に,1試料中の複数成分の同時定量法を検討した。Fe^<2+>とFe^<3+>の同時定量(ο-フェナントロリン法)に関する実験では,両者を含む試料溶液の流量を一定とし,還元剤(L-アスコルビン酸)溶液の流量を三角波制御信号によって変化させた。高速フーリエ変換によって求めた検出信号の直流成分〜高調波成分の振幅とそれぞれの濃度との関係より,両イオンの同時定量を行った。また,振幅変調-ロックインアンプ検出法による水試料中のリン酸イオンの高感度定量法(マラカイトグリーン法)についても検討した。本研究は振幅変調と周波数解祈の概念を導入した新しいフロー分析法を提案するものであり,分析化学の基礎研究としての意義に加え,比較的単純・安価なシステムを用いて効率的に多試料同時分析/多成分同時定量を実現することができることを示した点でも重要であると考える。
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