研究課題/領域番号 |
19655070
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
早瀬 修二 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (80336099)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2007年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 電気化学発光 / ナノポア / ZnO ナノロッド / 細孔 / Ru錯体 / 時間分解 / ポーラスアルミナ / ポーラスチタニア |
研究概要 |
本テーマの目的はナノスペースからの発光を利用し、電気化学発光の高効率化を図ることおよびその波長をナノ構造によって制御可能かどうかを検証することである。電気化学発光種にはRu錯体を用いた。Ru錯体の酸化体と還元体が衝突することにより励起Ru錯体が生成し、これが基底状態に戻るときに発光が観察される。昨年はチタニアのナノホールアレイを用い、ナノホールでの限られた空間でRu錯体酸化体と還元体の衝突頻度を増大することによって、発光強度を増大させることに成功した。今年は、チタニアナノホールアレイより作製が容易で大面積作製が可能なZnOナノロッドアレイを電極に用いた。ZnOナノロッドアレイ間のナノ空間からの電気化学発光を観察し、ナノ空間を使った発光強度増大を検討した。素子は、透明導電膜基板/酸化亜鉛ナノドットアレイ/Ru錯体溶液/透明導電膜基板からなる。素子に交流を印加したところ、平板の電極に比べ10倍以上の大きな発光の増大が見られた。さらに特徴的なことは、発光開始電圧が平板電極型素子の2.5-3Vに比較し酸化亜鉛ナノロッドを使ったセルでは1.5Vと大きく低電圧化できたことである。ZnOナノロッドの長さを4.0ミクロンから8.1ミクロン、11.5ミクロンと長くすると、さらに発光強度の増大が見られた。発光の時間分解特性を詳細に検討することにより反応のメカニズムを検討した。負の電位から正の電位に変化したときにミリ秒の時間スケールで大きな発光が持続することがわかった。これはZnOナノロッドから電子が注入されてナノスペースに生成した多量のRu錯体還元体(負極)が、電極の極性が変わった後で(正極)、酸化亜鉛ナノロッド底部の透明導電膜基板で生成したRu錯体酸化体がナノスペース中を煙突として移動し、効率よくナノスペース中でRu酸化体と還元体が衝突するためと考えられた。このようにナノスペースを用いた発光現象を利用することによって、電気化学発光の低電圧発光、発光の高効率化が可能になることを実証できた。
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