研究課題/領域番号 |
19656018
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
枝川 圭一 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (20223654)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | フォトニック結晶 / フォトニックバンドギャップ / ダイヤモンド構造 / フォトニックアモルファス構造 |
研究概要 |
昨年度、フォトニック準結晶の3次元フォトニックバンドギャップ(3D-PBG)形成を調べている過程で、結晶や準結晶と異なり長距離の並進秩序を一切もたないアモルファス構造において明確な3D-PBGが形成されることを計算機シミュレーションにより発見した(Edagawa et al., Phys. Rev. Lett. 100,013901(2008))。これは誘電体のネットワーク構造であり、すべての連結点の配位数が4である構造で、我々はこの構造をフォトニック・アモルファス・ダイヤモンド(PAD)構造と名付けた。従来、3D-PBGの形成はフォトニック結晶の周期構造からの光のブラッグ散乱に起因し、長距離並進秩序は3D-PBG形成に不可欠のものと信じられており、我々の発見はそのような従来の常識を覆すものである。 本年度は、PAD構造における3D-PBG形成を実験的に証明することを目的とした。ネットワークのボンド長が約3mmの試料をレーザー焼結積層造形法により作製し、ミリ波帯の電磁波の透過スペクトルを測定した。電磁場の基礎方程式であるマックスウェルの方程式はスケール不変であるので、ミリ波帯で得られた実験結果が光波帯でも成り立つことが原理的に保証される。レーザー焼結積層造形法に通常用いる原料のナイロン粉末は比誘電率が4程度であり、3D-PBG形成には低すぎるため、酸化チタン粉末を混ぜることにより比誘電率を上げることを試みた。これにより比誘電率が8程度の試料を作製することに成功した。比較のためPAD構造の他に、従来大きな3D-PBGが形成することが明らかとなっているダイヤモンド結晶構造(Photonic Crystalline Diamond(PCD)構造)も作製した。PAD、PCD構造とも厚さ約30mmとし、ミリ波透過スペクトルをベクトルネットワークアナライザとホーンアンテナを組み合わせたシステムで自由空間法により測定した。両構造とも28GHz付近に最大40dB程度の透過強度の落ち込みが観測され、FDTD法による計算機シミュレーションとの比較により、その落ち込みが3D-PBG形成に起因するものであることが明らかになった。
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