研究課題/領域番号 |
19656019
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 康志 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60294047)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 表面増強ラマン散乱 / 生体分子イメージング / 金属ナノ粒子 / 共鳴ラマン効果 / 空間選択性 / ナノトラッキング / エンドサイトーシス / 顕微ラマン分析 / ハイパーラマン散乱 / マイクロインジェクション / cytochrome c |
研究概要 |
ポリクロメーターのスリットを利用した共焦点顕微光学系を構築し、エンドサイトーシスにより取り込まれた金ナノ粒子からのラマン散乱スペクトルを時系列に計測する分光システムの開発を行った。マクロファージ細胞が取り込んだ50nm径の金ナノ粒子からの表面増強ラマン散乱光は取り込み直後から観察され、原形質流動、タンパク質輸送などの細胞活性やブラウン運動に起因した金ナノ粒子のランダムな動きに合わせて、位置、時間に強く依存したスペクトルが計測された。それらスペクトルでは、チロシン、アラニン、フェニルアラニンなどのアミノ酸、グアニン、アデニンなどDNA塩基分子、リン脂質など数多くの生体分子由来のラマンバンドが観察された。さらに、ナノ粒子の動きをナノスケールで常時計測し、ナノ粒子からの散乱光を常に分光器内へと導く、フィードバック機構の装置化を行った。これにより、ナノ粒子を細胞内でトラッキングしながら、各位置でのスペクトルをリアルタイムで計測することを可能とし、細胞活性に関連する分子の動態をナノスケールの空間分解能で観察する技術を確立した。 また、細胞深部での観察を容易にする銅ナノ粒子による長波長領域でのプラズモン共鳴についての検討を行った。まず、硝酸銅にアスコルビン酸、ポリビニルピロリドンを加えて銅イオンの還元を行い、銅ナノ粒子の合成を行った。動的光散乱法により8nm程度のナノ粒子が作製されていることを確認した。さらに、原子間力顕微鏡による観察でも同様のサイズのナノ構造体を観察した。しかしながら、570nmから600nmに見られるはずの銅ナノ粒子の吸収ピークは合成したナノ粒子の濃度が低いため観察されなかった。一方、150nmの比較的大きな銅ナノ粒子による吸収ピークが800nm近傍に観察された。今後は、合成法との最適化を行い収率を上げる必要があると考えている。
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