研究概要 |
H20年度は,昨年度に開発に製鋼した縦型の1段式火薬銃を用いて,衝撃圧を変化させて発泡金属の製作を行った。6061アルミニウム合金粉末と水素化チタン粉末を混合した後金型に充填し,銅とポリエチレンで構成される飛翔体を火薬銃で超高速衝突させることで,高密度の固化体を作製することが確認できた。得られた固化体の密度は,衝撃圧力によって変化し,衝撃圧力86.9GPaで,密度2.69(x10^3kg/m^3)の高密度固化体が得られた。この衝撃圧力で作製した固化体を800℃に加熱することで,水素化チタンの分解による発泡化が生じることが判った。一方,衝撃圧力28.0GPa以下では,高密度の固化体が得られず,その後の800℃での加熱で発泡を生じることはなかった。したがって,衝撃圧を用いて発泡金属のもととなる固化体を作製する場合には,一定以上の衝撃圧力を与えることによる高密度化が必要であることが明らかになった。効率よく発泡が見られた低密度(1.00(x10^3kg/m^3)以下)の発泡アルミニウム合金を用いて横圧縮試験を実施した。作製した6061発泡アルミニウム合金は純アルミニウム系の発泡材料と比較して,10倍以上の高い衝撃吸収能力を示すことが明らかになった。比較のために,粉末に直接衝撃圧を作用させた場合の発泡の状態観察も行ったが,粉末に対する衝撃圧の負荷では,バルク材として十分な形状が得られず,発泡も観察されなかった。粉末に対する衝撃圧縮の効果は小さいものの,回収試料では顕著な温度上昇が確認できているため,バルク形状を作り出すことができれば,粉末試料から直接発泡体に変化させることも可能であろうと考えられる。
|