研究概要 |
DVDプレーヤに使用されているガラス製レンズを量産するホットプレス用金型には超硬合金使用されている.超硬合金に対して粗さが10nm Rz以下の加工面を創成できる研削加工技術の開発が遅れているため,金型の最終仕上げには手磨きが行われている.本研究では,超硬合金に対してサイズが1mm以下,粗さが10nm Rz以下の超精密微細形状を成形できる,焼結ダイヤモンドPCD製のマイクロ研削工具の開発を行った. 気相合成ダイヤモンドをツルーアに用いてPCDに対して接触放電成形を行い,砥石作用面にある砥粒の先端を平坦かつ平滑に成形した.また,同工具に対してレーザ加工を行い,半球状の砥石作用面に直径が20μmのディンプルパターンを成形した. 試作したPCD製の研削工具を用いて硬さが2600 Hvの超硬合金に対して研削加工を行った.その結果,接触放電加工によって荒らされた砥石作用面に目詰まりが発生し,粗さが15nm Rz程度の加工面しか作ることができなかった. そこで,半球状に成形されたPCD研削工具に対して気相合成ダイヤモンドをツルーアに用いた乾式研削を行い,砥石作用面を平坦かつ平滑に成形した.また,同工具に対してレーザ加工を行い,半球状の砥石作用面に幅が10μmの4本の螺旋溝を成形した. 砥石作用面を平坦かつ平滑に成形した後に螺旋溝を成形したPCD製研削工具を使用し,超硬合金に対して研削加工を行った結果,砥石作用面に目詰まりが発生せず,粗さが10nm Rz以下の平滑な研削加工面を作ることができた.
|