研究概要 |
本研究は,人間の感覚が製品評価の重要な因子となる場合の設計を対象に,製品評価を実現する人体CAEモデル構築とそれに基づく新しい設計法を確立することを目的として実施した.研究対象として,エンドユーザの好みや嗜好が商品・製品の売れ行きを左右する代表例である,アルミ飲料缶飲料およびアルミボトル,PETボトルなど飲料容器を対象に 1) 感覚受容器機能を埋込んだ人体部位CAEモデル構築法の開発:指先の感覚受容体を埋め込んだ弾性体CAEモデルの構築法と,固体差や男女差,身体的特徴,加齢による感度の衰退をデータベース化することで,物理的刺激と感覚受容体の固体差についても組込んだCAEのモデル化の可能性を検討した.また,その結果を飲み易さ評価法に適用した. 2) 人体部位CAEモデルを用いたシミュレーション:ボトルや缶などの飲料容器の形状と握って開栓するときのCAEモデルによって感覚受容体の刺激量,脳波の予測を試みた.また飲料を口に含んだときの脳波と顎やのど部筋電位測定をCAEモデルによるシミュレーションで予測し,種々の状況でのデータ収集・分析を重ねて計測・分析結果との一致精度向上を検討した. 3) CAEによる構造・流体連成解析と最適化:手で飲料容器胴体部を握ったとき,開栓時のキャップにかけた各指への力配分などを,手-容器モデルによって構造解析し,腕筋電位変化との対応関係を調べた.また飲料を口に含んで飲み込む時の容器及び咥内モデルの構造-流体連成解析を実施し,舌の動きと飲み易さの関係を分析した.さらに判明した快適性を与える関連物理量や生体情報を達成する条件を,多目的最適化法を利用して抽出し,その結果を製品設計に活用することを検討した.
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