研究概要 |
研究最終年度の本年度は, 前年度で得られた機能性複合ナノ粒子構造体のふく射伝熱特性を検討し, さらに最適なナノ粒子の粒径・空間分布を推定するとともに, 酸化チタンやアルミナ以外の粒子を使用することを検討した. また, 太陽光の吸収特性と室内の熱環境特性を考慮した機能性ナノ粒子構造体の省エネルギー効果について, 実際のナノ粒子を含んだ塗料を複数製作し, そのふく射伝熱特性を検証した. 具体的には, 酸化チタンおよびアルミナ粒子を用いてナノ構造体の設計を行い, 昨年度行った理論的推定と実験の成果を検討し, さらに最適な粒径検討を行い, 良好なナノ構造体の設計を行った. また, 各波長のふく射に対する反射・放射特性を前年度に構築した測定システムで計測を行った. これらのデータに基づき, 家屋や自動車にこのナノ構造体を適用した場合についての伝熱特性解析のためのモデル化も検討した. このモデル化には, これまでに構築してきた環境におけるふく射伝熱モデルを応用し, 視覚的, すなわち可視の波長領域では反射率を低減し景観を考慮したふく射特性を有し, 近赤外領域においては, 反射率を増加させることで太陽光からの伝熱を制御する機能性構造体を検討した. 併せて「色評価」を行うことで, 赤外領域では大きく反射率が異なる機能性構造体でも, 可視領域においては, その色および輝度が大きく変わることなく, 色調を変えないまま近赤外領域において反射率を制御することができることを明らかにした. 以上の実験およびモデル化検討の結果を総括的に検討し, ナノ粒子構造体が省エネ効果に及ぼす効果について明らかにした. 当該年度において得られた成果は, 国内外の研究会およびシンポジウムにて発表を行った.
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