研究概要 |
50Hzまたは60Hzの正弦波交流電圧を供給する現状の配電システムに対して,太陽光・風力発電などの分散電源システムやコンピュータ,インバータ照明器具など,機器内部に整流回路を持つパワーエレクトロニクス機器が普及する中で,直流配電システムが提案されている。本研究では,直流配電システムの絶縁および事故時の電流遮断が難しいこと,人体への安全性を解消し,負荷装置に安価なダイオード整流回路を用いることができ,正弦波配電に対しても,電流波高値および電流実効値を共に0.87倍にできる配電システムとして方形波配電システムを提案する。本研究では,三相方形波システムについて,方形波交流理論の展開および配電システムの実用化を検討するために,具体的に3項目について研究を進め、以下の研究成果がそれぞれ得られた。 1. 方形波波形の交流回路理論展開による新たな学術分野の創出 方形波交流理論の一般化正弦波交流理論における周波数解析に相当した方形波交流理論における周波数解析理論を導出した。 2. 方形波配電システムおよび負荷ダイオード整流回路のシステムパラメータ設計 負荷ダイオード整流回路の入力総合力率と出力電圧リプルの仕様に対する入力リアクトルおよび出力コンデンサ容量の設計法を導出し,実験でその有効性を確認した。 3. 方形波配電用ダイオード整流回路の力率・効率改善方式の開発 ダイオードに並列小容量キャパシタを接続して,入力総合力率と出力電圧リプルを改善する回路を提案し,そのキャパシタ容量設計と特性改善効果を理論と実験で明確にした。
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