研究概要 |
半導体デバイスの超微細化に向けて極浅接合形成技術は重要な課題である。本研究はシリコン表面の極浅領域にノックオンイオン注入法によって高濃度に不純物を局在化させ,マイクロ波照射によってその領域のみを直接加熱しノックオン不純物を効率的に活性化させる革新的な極浅半導体接合技術を創出するものである。19年度に設計製作した基板ホルダーを回転させる機構を設けたマイクロ波照射チャンバーを用い,Ar注入により非晶質化したSi基板へ低エネルギーイオン注入したB原子のマイクロ波照射による活性化現象を解明した。2.45GHz,300Wのマイクロ波を30秒照射することは従来の電気炉では650℃で8分のアニールに相当する。このときのSi基板温度は550℃であり,B原子の再拡散は全くなかった。マイクロ波アニールにより低温活性化(実質約200℃)が可能であることが確認された。この結果を踏まえて,RFスパッタによりSi基板に堆積した50nm厚のAl膜を介してArイオン注入し,Al原子をSi表面にノックオン注入し,マイクロ波アニールによる活性化を行った。ノックオン注入によりSi表面に導入されたAl原子数はAr注入量により制御でき,その深さはいずれのノックオン注入条件においても約10nmに局在させることができた。Ar注入量が1E15/cm^2の場合には約30nmの深さまでAl原子の再分布が認められた。これは注入されたArイオンによるSi結晶欠陥に起因する。これらの試料に前記B不純物活性化と同じ条件でマイクロ波照射することにより,60秒で電気的活性化が可能になった。10nmの極浅p+層形成が実現できたことから本技術の有効性が実証された。
|