研究概要 |
山岳トンネルの施工中の様々な作業により発生する粉じんは,その粒度によっては作業員の肺に入ると,それが肺に蓄積され人体に影響を及ぼす.そのため,現在はトンネル坑内の粉じん濃度測定の義務化が進められている.トンネル内の粉じん濃度を測定するには「デジタル粉じん計」を用いることが一般的である.この装置は一定の吸引力で空気を吸引し,その空気中の粉じん数をカウントし,それに装置固有の質量濃度変換係数を乗ずることで粉じん濃度としている.このデジタル粉じん計は設置するとその場で10分以上継続的に計測を行い平均的な粉じん濃度を計測する必要がある.そのため,より簡便に粉じん濃度を測定できる計測方法が求められている.本研究では,普通のデジタルカメラを使ってトンネル坑内でフラッシュ撮影を行うと粉じんが雪のように写る現象を利用し,フラッシュ撮影時のデジタル画像をニューラルネットなどによる画像処理を利用しトンネル坑内の粉じん濃度を推定する方法を考案した.すなわち,デジタル画像を8bitのグレースケール画像に変換し,画像全体のグレースケール値の平均,分散,標準偏差をもとめ,それらの統計量とデジタル粉じん計による粉じん量との関係をニューラルネットに学習させた.そして,同じトンネルであるが別の時期に実施した現場試験において,1分間隔でフラッシュ写真撮影を行うと同時にデジタル粉じん計を用いた粉じん量測定を実施した.その結果,フラッシュ撮影写真の画像処理による粉じん濃度変化とデジタル粉じん計の濃度変化はよい相関性が得られ,簡便な粉じん濃度の測定法が提案できることがわかった.
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