研究概要 |
土中の間隙空気や間隙水は熱力学的な相互作用を受け,その平衡状態は,間隙空気中の水蒸気圧や気体の間隙水への溶解量,温度,液相と気相の割合に影響される。このため,温度や圧力といった状態量の変化は不飽和土の動力学特性に少なからず影響を与えると考えられる。中でも,間隙水や間隙空気が土粒子骨格の外へ出ないような急速な載荷(例えば,地震動)を受ける場合には,熱力学的平衡が瞬時に達成されるわけではないため,土の有効応力状態は時間に依存してより複雑になると考えられる。このような力学特性は,特に拘束圧が低く、大気温度の影響を受けやすい表層の不飽和領域の斜面崩壊機構と密接な関係があることが予想される。 平成21年度には、間隙中の水と間隙期待の相互作用である気液平衡(温度や気体種の違いによる気体の液相への溶解量の変化など)が、砂質土の単調および繰返しせん断特性に及ぼす影響についての二酸化炭素および空気を間隙気体とした要素試験を数多く実施した。研究では、気体の溶解量の多い間隙気体を持つ不飽和土が非排気・非排水条件下で温度上昇変化を受けるとき、有効応力状態の変化を理論的に考察するとともに、実験的に雄幸応力が減少することを示し、その結果せん断強度が低下することを明らかにした。このような初期圧密時の有効応力が低下することによって、繰り返し強度も低下することを明らかにした。研究成果は、地盤工学会および土木学会において口頭発表した。国際会議などにも投稿中である。
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