研究概要 |
河川における砂礫移動の追跡調査に用いるために,砂礫にマイクロチップを埋め込み,個々に固有番号を与え,肉眼に拠らずその位置観測が可能となるシステムを構築した.本研究で用いたICタグシステムは,タグの読み取りに使用する使用周波数帯が水の影響を受けにくい(134.2kHz)点と,ICタグは電池を持たず読取器側から受ける電磁波により電力が供給されるパッシブ型である点が特徴である.装置は,(1)ICタグ,(2)アンテナ,(3)読取器,(4)ロガー(ノートパソコン)により構成される.本調査手法を実用に供するために,アンテナを河床に定置する定置型装置と,アンテナを河床上にかざして河床にある試料を捕捉する追跡型装置を考案した.ICタグの読み取りに関する基礎実験(H19実施)に引き続き,実際に真名川ダム(福井県大野市)のフラッシュ放流にあわせて設置し現地河川試験を実施(H19,20)した.ダムからの放流およびその後の出水により,ICタグを埋設した礫(直径40mmおよび70mm)の移動経過について,GPSを組み合わせて容易に特定する事に成功した.礫の移動距離は最大で300m程度まで認められ,本システムの有効性が確認された. 一方,タグ側に電池を有するアクティブ型の検討も行った.アクティブ型の長所は,信号強度が強く,タグの認識距離が伸びることであるが,一方で,タグのサイズが大きくなることと,電池寿命により追跡可能期間が制限されることである.今年度は,このアクティブ型のICタグの製作も行い,河道内における追跡調査を行い,良好に認識できることを確認した.
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