研究概要 |
本研究は,人口減少の影響を最も受ける過疎地や縮退地域における保健・医療・福祉での地域施設計画の理論構築を目的としたものである。調査は,1)行政ヒアリング(保健・医療・福祉担当部署),2)各サービス主体の概要,3)施設・サービス利用者の地域分布,4)入所者/居者の住宅からの転居状況,入所/居者の属性-年齢・居住期間等,需要動向,保健・医療・福祉サービスの利用状況,5)中心施設利用者の地域分布,サービス提供の状況(職員の勤務状況・配置,地理的環境への対応,利用者の地域的特殊性・居住環境,など),経営状況などを収録するものである。本年度の実態調査は,中山間地域として,愛知県の東栄町・設楽町・豊根町の3町,東三河北部医療圏(人口密度63.7人/km^2(人口約67千人-面積約1,052km^2))を対象地域として実施した。調査手法は平成19・20年度と同様で,アンケート留め置きの方法をとった。 本年度で研究期間が終了することになるため,現在,本課題で実施した3つの地域を比較して分析を進めているところであるが,人口過疎地域において保健・医療・福祉サービスを継続するためには,行政からの支援なくしては難しいことは当然としても,地域住民自身がそれらのサービスを支える心構えを持つことも必要ではないか,と考えるに至った。すなわち,住民自身がこれらのサービスをどのように使い分けて利用するのか,そのコントロールの仕組みを主体的に構築することが必要なのである。
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