研究概要 |
本研究は,次々世代以降の高集積化された極微細ULSI多層配線用材料として注目されるカーボンナノチューブ(CNT)を微細な縦孔(ビアホール)内に高密度に形成し,Cuと同等の低抵抗層間接続を実現するため,CNT形成用触媒であるCoやNiのナノ微粒子を高密度かつ選択的に金属表面に形成することを目標とし,そのための手法として超臨界流体を利用した金属薄膜形成技術を応用している。具体的には,CNTによるビア配線が,Cuによる配線と同等以下の抵抗となるよう,10^<12>本/cm^2以上の密度でCNTを形成するため,その触媒ナノ粒子も10^<12>個/cm^2という密度で形成することを目指している。 今回の研究では,Coのナノ粒子合成に焦点をあて,超臨界流体を利用したCo合成の最適な原料選択,次に,その場観察手法を用いた核発生温度の探索,そして,高分解能電子顕微鏡による核発生密度の観測を行った。 まず,Co合成用の原料としては,Co(tmhhd)_3,Co(tmhd)_2,CoCp_2などの原料から,超臨界二酸化炭素に溶解性の高いもの,そして,反応性の高いものをバッチ型反応器を用いて評価を行った。なお,還元剤としてはH_2を用いた。その結果,Co(tmhd)_3が溶解性も高く,反応性も高いことが確認でき,Co(tmhd)_3を用いて検討を行うこととした。 次に,一定濃度での製膜実験を行うため,シリンジポンプを導入し,フロー式の実験を行い,同時に,窓付きセルから成長表面へ白色光を照射して反射光のスペクトルをその場観察した。その場観察の結果からは550nm程度の光に着目すると核発生・成長の様子がモニターしやすいことが分かり,この波長の光の強度変化をその場観察した。本手法と昇温実験を組み合わせた結果,Coのナノ粒子は,160℃程度から発生することが分かった。この核発生温度付近でさらに保持する成長実験を行い,生成したナノ粒子の核発生密度を高分解能FE-SEMにて観測したところ,数nmの粒子が6×10^<10>個/cm^2程度存在していることが確認できた。目標とする10^<12>個/cm^2にはまだ及ばないものの,通常のCVD法などに比べると,容易に高密度を実現できることが分かった。さらに,原料濃度や添加剤の有無などで核発生密度がどのように変化するかを考察し,目標に近づける予定である。
|