研究概要 |
平成19年度に開発した,溶接電源を用いて純アルミニウムA1050(300mm^1×100mm^w×5mm^t)を溶接した。気孔の発生を促すためにシールドガスにアルゴン-1%水素混合ガスを採用し、下向きおよび気泡が問題になりやすい横向き姿勢で溶接を行った。周波数を不可聴領域の20〜40KHzおよび可聴領域の10〜20KHzにおいて変化させ,周波数の依存を調査した。また、比較のために通常の溶接機を用いて、通常の60Hzの交流TIG溶接も行った。 得られた継手は,既存の透過X線装置を用いて,溶接部の気孔を観察し、超音波アーク溶接の効果を評価するとともに,各溶接ビードから溶接方向に垂直な断面を10個程度採取し、気孔の量および直径分布を測定し,リニアおよびログスケールで評価した。また、通常のアーク(TIG)溶接との比較を行った。 また,得られた継手を溶接方向に垂直に切り出し,その断面の観察を行った。光学顕微鏡,FE-SEM,を用いて,組織の解析を行った。これらの結果を用いて,気孔の量,分布の変化および組織の微細化により,引張強度,耐力,伸び等がどのように変化するかを調査した。 超音波の振動数が小さいほど,超音波の減衰が小さく,有効であったが,20kHz以下の周波数になると可聴となり,大きな音を伴うことになるので,20kHzが最適であると結論付けた。また,IGBTの安定化とアーク点弧の手法についても種々検討し,最適な条件設定および装置の最適化を行った。
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