研究概要 |
本申請課題「神経幹細胞のニューロスフェア培養における増殖プロセス評価」では,神経幹細胞の増殖特性ならびに細胞集塊の生成機構,さらには集塊内における未分化/分化細胞の判定と品質評価に関し,定量的な規範を策定することを目的とし,以下の視点からの検討を集中して行なった. 培養初期段階における単一細胞の移動(遊走性)と細胞合一頻度との関係 神経幹細胞の培養では,播種された単一細胞は,培養面に強固に接着することなく培養面を移動する(遊走性を示す)ことが認められている.この遊走性が細胞の合一における推進力,ひいてはニューロスフェア形成のトリガーとも考えられる.細胞の遊走性に関しては,細胞観察と画像解析ツールを活用し,神経幹細胞の遊走性を定量的に把握したところ,遊走性の増大は,集塊形成を促進していることがわかった. 細胞集塊内のポピュレーション(未分化/分化細胞)評価と培養プロセスパラメータとの相関 集塊の品質評価の観点から,集塊内におけるポピュレーションバランスを解析するための「Imagecytometory」システムを開発した.まず,細胞集塊の組織切片を作成し,種々の状態の細胞種を識別するため蛍光染色を施す.異なる培養条件から得られた組織切片サンプルを共焦点レーザースキャン顕微鏡下で観察し,蛍光画像を取得する.上記項目で得られたデータも考慮して,神経幹細胞のニューロスフェア培養における,増殖・分化といった細胞のアクティビティとクオリティーに関する総合的評価を可能とした.
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