研究概要 |
本研究では,太陽光を直接利用してレーザー発振する太陽光励起レーザー光を“エネルギーキャリア"と捉え,その電気への高効率エネルギー変換システムの有力候補の1つとしての「太陽光励起レーザー駆動MHD発電の実現」を研究全体構想として抱いている。本研究では,太陽光励起レーザーによる希ガス加熱を衝撃波管装置により模擬し,準定常作動高温希ガスプラズマMHD発電機の基礎物理現象と発電性能を実験的に明らかにすることで,高性能「太陽光励起レーザー駆動MHD発電機」となり得る潜在力を見極めることに焦点を絞っている。 初年度(平成19年度)は,最も本質的な高温希ガスプラズマMHD発電機の基礎物理現象の把握を目的とし,発電機としての基本特性である電圧-電流特性,ならびに発電機内プラズマの発光強度およびその変動と発電特性との関係を明らかにした。結果として,シード剤を用いない高温の希ガスプラズマを用いて,従来のシードプラズマMHD発電機に匹敵する,もしくはそれ以上の性能が実証された。 最終年度(平成20年度)は,初年度の成果を基盤に,運転条件が発電特性に与える影響を明らかにし,発電性能の把握とその高性能化を図るための方策・指針を明確にした。特に,発電性能の最高値を与える最適作動気体温度や最適印加磁束密度が存在することを初めて明らかにしたことや,一方で,数値シミュレーションから実験結果を評価し,得られた結果に妥当性があることを示したことは,学術的にも意義深く,特筆に値する。 本研究課題で得られた結果は,全世界で長い研究経緯をもつMHD発電研究の中で,全く類を見ない独創的成果となっており,新たな展開を図る上で貴重な基盤を築いたといえ,萌芽研究として相応しい成果をあげたと自己評価している。
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