研究課題
萌芽研究
リポソームに4重鎖構造を形成させた核酸を埋め込み、これがイオンチャネルとして動作するのかを検証した。検証には以下の3つの手法を用いた。(1)蛍光顕微鏡を用いた検証ジャイアントリポソームの内側にカルシウムイオンとその蛍光性指示薬であるFura2を封入した。蛍光顕微鏡でFura2の蛍光強度を追跡する事で、4重鎖を通じたカルシウムイオンの流出の有無を検証した。15分程度での蛍光強度の減少が観測され、4重鎖核酸がチャネルとして動作する事が示唆された。(2)イオン特異的電極を用いた検証リポソーム内にカリウムイオンを封入し、これをカリウムイオンを含まない溶液に移した。カリウムイオンに特異的な電極を用いて溶液中のカリウムイオン濃度をモニターする事で、4重鎖を通じたカリウムイオンの流出の有無を検証した。数秒程度及び15分程度の2つの時間領域において容液のカリウムイオン濃度の上昇が観測され、4重鎖核酸がチャネルとして動作する事が示唆された。(3)蛍光分光器を用いた検証リポソーム内のカリウムイオン濃度とpHと外液より高く決定する。また蛍光性pH指示薬であるHPTSも同時にリポソーム内に封入する。ここにプロトンイオノフォアであるCCCPを添加する。この時、カリウムイオンの流出とプロトンの流出がカップルして生じれば、リポソーム内のpHが低下し、それがHPTSの蛍光変化(減少)として観測されると予想される。CCCP添加時のHPTSの蛍光強度を蛍光分光器でモニターする事によって、4重鎖を通じたカリウムイオン流出の受けを検証した。数秒程度及び15分程度の2つの時間領域において蛍光強度の減少がされ、4重鎖核酸がチャネルとして動作する事が示唆された。以上の(1)〜(3)の検証より、4重鎖核酸がイオンチャネルとして動作する可能性が示唆された。今後は4重鎖以外の核酸を用いて同様の実験を行う事で、この可能性をさらに検証していく予定である。
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