研究概要 |
Tauの微小管結合ドメインは3つ、または4つのリピート構造(R1〜R4)と、そのN末側に2つ、C末側に1つのproline-rich dmain(P1,P2,P')から形成されており、R1〜R4でチューブリンと結合すると考えられている。微小管と微小管結合蛋白質との相互作用に影響を与える小分子化合物の作用を解析するため、昨年度に引き続き、解析に必要なTauの微小管結合ドメインの大腸菌発現系の構築・精製を行うとともに、各ドメインのチューブリン重合能と結合能の解析を行った。昨年度は各ドメインをGST融合蛋白質として発現・精製を行った。しかしながらGST融合蛋白質ではGST領域に依存した二量体化活性がチューブリン重合活性及び結合に正に寄与する可能性が考えられる。そこで新たにネイティブな配列のみを精製可能なeXactタグを用いた発現・精製系に切り替え、検討を行った。精製したP1,P2,R1,P'の各ドメイン、及びP1〜P'のチューブリン重合能・結合能を検討したところ、P1〜P'の連続したドメイン領域は両活性を示したが、単独のドメインではいずれの活性も確認出来なかった。したがって単独のドメインのみでは結合が無いあるいは極めて弱いと考えられる。一方tauと微小管相互作用を阻害する小分子化合物tryprostatin A(TPS-A)を用いて解析を行ったが、生産菌から新たに精製したTPS-A、及びその類縁体では活性が認められなカった。今後はTPS-Aの代わりに同様の活性が報告されているBis-ANSを用いて引き続き検討を行う予定である。
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