研究課題
挑戦的萌芽研究
森林樹木の天然更新は初期段階において菌害による阻害を大きく受けており、森林の維持管理のためには、天然更新阻害要因としての菌害発生メカニズムを明らかにする必要がある。本研究は冷温帯を代表するブナの天然更新に対する菌害の影響を解明するために、ブナ種子腐敗病菌について、林分内や全国的な分布と遺伝構造の解明を目標とした。ブナ種子腐敗の発生率は同一林分内のミクロサイト間で大きな差異があることから、10m四方のプロット内から50cm四方の小プロット毎に種子腐敗病菌であるRhizoctonia属菌を採取し、DNA分析により病原菌のクローン構造を解析した。その結果、採集された全菌株が異なるクローンであり極めて多様であった。このことから、ブナ林の林床では種子腐敗病菌Rhizoctonia属菌のクローンは小型化していると考えられた。一方、全国的に種子腐敗病菌Rhizoctonia属菌を採集した結果、北海道道南地域から中国地方の日本海型ブナ林ではブナ種子腐敗病菌が高頻度で分離されたが、九州と四国、関東の太平洋型ブナ林の多くでは本菌は分離されなかった。この結果から、ブナ種子腐敗病菌の分布には地域的な差異がある可能性が示唆され、積雪量などの環境要因がブナ種子腐敗病菌の分布に影響を与えている可能性が考えられる。
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Journal of Chemical Ecology 35
ページ: 1077-1085
120007131451