研究概要 |
有機廃棄物は高濃度の栄養源を蓄えているが、酸素については外部からの供気によって溶存化する必要がある。しかし高水分有機廃棄物の場合は,水分が多いため廃棄物内部までは酸素が供給されずに分解、減量化が阻害される。本研究で用いられる微細気泡は気泡直径杢約100μm以下に微細化させることによって、溶液中の酸素保持時間が数ヶ月もの長期になると言う報告があり、この特長によって汚泥分解に必要な酸素供給が効率的になり分解速度も飛躍的に高くなると考えている。 本研究では以下の2点について検討した。まず高水分材料における微生物活性について検討を行った。高水分状態が酸素貯蔵庫となることの検証実験を、酸素供給が律速とならないように数グラムの高水分有機廃棄物を試料として分解発熱する好気性微生物の活性データを,マイクロヒートカロリーメータによる発熱量を計測し比増殖速度を求めた。この結果高水分状態は、低水分状態にくらべて明らかに微生物活性が高くなることが観測された。これは試料周囲からの酸素拡散による酸素供給が妨げられない限り、高水分状態は溶存酸素を豊富に貯留することが可能であることを示している。ただし37℃の環境下では対照区と比較して約2倍の微生物活性が表れたが、55℃では差が表れなかった。また微細気泡水と汚水と混合して有機物分解に与える影響を検討した結果、対照区である蒸留水混合区と比較して有機物分解に差は表れなかった。これは連続的に微細気泡が生ずるような反応方法を採用せず、バッチ式で微細気泡水を供給したためと考えられ、有機物分解に必要な酸素量に対し微細気泡の酸素量が小さかったためと考えられる。
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