研究課題
挑戦的萌芽研究
一般に、植物の体温は外気温の変化とともに変動するものと考えられているが、驚くべきことに、ある種の植物には、自ら発熱し、その体温を積極的に調節するものが存在する。本研究が対象とするザゼンソウは早春に開花し、肉穂花序の温度を20度内外に維持する能力を有するサトイモ科の発熱植物である。ザゼンソウの地球上における分布は我が国を含む北東アジアと北米東海岸に限局される。本年度の研究においては、昨年度に引き続き、茎頂培養に関する情報を調査するとともに、当該培養により再分化したザゼンソウ個体の生育等を観察した。本法により、3年程度の培養期間を経た後に、仏炎苞、肉穂花序が出現することが判明した。しかしながら、熱産生に特化した培養細胞の樹立には培地条件等のさらなる検討が必要であると考えられた。一方で、ザゼンソウ肉穂花序由来のプロトプラストは高い呼吸活性を保持しており、また、熱産生に関与すると考えられているシアン耐性呼吸酵素も高レベルで発現していることから、熱産生機能を保持した細胞レベルでの解析を行うことができる可能性が高い。なお、ザゼンソウの発熱現象は、岩手や秋田の群生地に加え、滋賀県内の群生地においても観察され、本研究期間において、それぞれの群生地のザゼンソウを用いたさらなる細胞レベルでの解析ができる環境が整ったと考えている。なお、岩手県北上市藤根に自生しているザゼンソウの呼吸解析については、原著論文として取りまとめ投稿中である。
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http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/zazensou/main/achievement.html