研究課題/領域番号 |
19659016
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関水 和久 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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研究分担者 |
伊藤 貴浩 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00323452)
垣内 力 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60420238)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / MSSA / MRSA / 滑走能力 / メチシリン |
研究概要 |
我々は黄色ブドウ球菌が軟寒天培地の表面を滑走する能力を見出している。我々は、臨床分離したMRSA40株とMSSA10株の滑走能力の比較を行った。MSSA株はすべての株が滑走するのに対し、MRSA40株中30株が滑走能力を低下させていることが見出された。MRSA株の滑走能力の低下がSCCmec領域にコードされる遺伝子より引き起こされるかを検討するために、SCCmec脱落株を作成した。臨床分離MRSA4株のうち、3株においてはSCCmec領域の脱落により、滑走能力の増大が見られた。次に、SCCmec領域中の滑走能力を抑圧する遺伝子を同定するために、SCCmec領域上のどの遺伝子がMSSA株の滑走能力を抑圧するかを検討した。その結果、mecI遺伝子の下流の新規遺伝子(X遺伝子)がMSSA株の滑走能力を抑圧する事を見出した。我々はこの遺伝子を持つと菌が滑走しなくなることから、X遺伝子をfudoh(不動)遺伝子と命名した。滑走能力の高いMRSA10株のfudoh遺伝子にはアミノ酸置換を伴う一塩基変異が生じており、この変異型fudoh遺伝子は黄色ブドウ球菌の滑走能力を抑圧しなかった。従って、SCCmec領域のfudoh遺伝子によってMRSA株の滑走能力は制御されていると考えられる。滑走能力の生理的意義を知る目的で、fudoh遺伝子の導入により滑走能力が低下した黄色ブドウ球菌株のマウスに対する病原性を検討した。その結果、滑走能力の低い株がマウスに対する病原性を低下させていることが判明した。以上の結果はSCC mec領域はメチシリンに対する耐性能力を付与する遺伝子だけでなく、黄色ブドウ球菌の滑走能力を制御する因子をコードし、黄色ブドウ球菌の病原性に関与することを示唆する。
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