研究課題
挑戦的萌芽研究
1.LPS刺激により炎症性破骨細胞(iOC)においてIκBζの発現誘導が認められたため、レトロウイルスベクターを用いたRNAi法や過剰発現系を用いて、破骨細胞におけるIκBζの機能解析を行った。2.炎症性骨破壊ではTh17細胞が破骨細胞誘導性T細胞として機能する。そこでTh17細胞におけるIκBζの役割についても検討したところ、Th17細胞分化に伴いIκBζの発現が誘導されることを見出した。IκBζ欠損マウス由来のT細胞では、Th17細胞分化に障害が認められ、今後IκBζを標的としたTh17細胞制御が炎症性骨破壊治療に有効であることを明らかにし、これを報告した(11.研究発表の岡本一男らによる研究成果)。3.樹状細胞でのTLR9シグナルに対するカテプシンK阻害剤の作用機序について検討した。TLR9下流のERK、NF-κB、IRFの活性化は全てカテプシンK阻害剤によって抑えられた。一方、二重標識したTLR9を用いた蛍光共鳴エネルギー転移解析から、CpG刺激によるTLR9の立体構造変化はカテプシンK阻害剤による影響を受けないことが分かり、カテプシンK阻害剤はTLR9下流直下の活性化機序に作用することが示された。4.カテプシンK阻害剤と異なり、アポトーシスを引き起こす効果を持つビスフォスフォネート製剤はiOCに対して抑制効果が低い。iOCを用いた遺伝子発現プロファイルから、抗アポトーシス分子・Bcl-2の高発現がiOCのアポトーシス抵抗性獲得の原因であることが示唆された。このようなiOCの特性を考慮に入れた治療法が炎症性骨破壊治療に必要であることを明らかにした。
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