研究課題/領域番号 |
19659205
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10335630)
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研究分担者 |
草野 研吾 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60314689)
大江 透 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70263556)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 4-Hydroxy-2-nonenAL(HNE) / 酸化ストレス / 活性酸素 / カルシウム / NADPH oxidase / β遮断薬 / Brugda症候群 / SCN5A遺伝子 / 心不全 / 心筋内カルシウム濃度 / 不整脈発生 / 電子スピン共鳴法 / 抗酸化酵素 / マクロファージ / 4-Hydroxy-2-nonenal(HNE) / 心筋症 / Na / Ca exchanger |
研究概要 |
検討1 【目的】 心不全患者の心筋において、酸化ズトレス発生が亢進している。中でも過酸化脂質の最終代謝産で、有害アルデヒドである4-Hydroxy-2-nonenal(HNE)が拡張型心筋症患者ならびに拡張相肥大型心筋症患者の不全心筋に蓄積している事を我々は報告してきた(Nakamura K, et al. Circulation2002, J Card Fai1 2005)。今回我々は、HNEが活性酸素発生を介して心筋内カルシウム濃度を増加させると仮定して、実験を行った。【方法】成人ラットの単離心筋においてHNEが活性酸素を発生させるかどうか2',7'-dichlorofluorescin diacetate fluorescence(DCF)を用いて検討した。fura-2を用いて心筋細胞内カルシウム濃度を測定した。【結果】(1)DCF用いて検討したところ、HNE(10 to 100μmol/L)によって、濃度依存性に螢光強度が増強した。すなわち活性酸素が発生した。その発生はNADPH oxidaseの阻害剤(Diphenyleneiodinum : DPIならびにApocynin)によって抑制された。(2)次に、fura-2を用いて心筋細胞内カルシウム濃度を測定した。病的状態に発生しうる高濃度のHNE(400pmol/L)は、心筋において時間依存性に心筋細胞内カルシウム濃度を増加させた。そして最終的に67%の細胞においてhypercontractureをひきおこした。(3)抗酸化酵素であるカタラーゼと、抗酸化作用をもつβ遮断薬であるカルベジロールは心筋細胞内カルシウム濃度増加を有意に減弱させ、hypercontractureの発生を抑制した。抗酸化作用のないβ遮断薬であるプロプラノロールはCa濃度の増加を減弱させなかった。更にL型Ca遮断薬であるverapamilならびにNa/Ca exchanger(NCX)のリバースモードの阻害剤であるKB-R7943も心筋細胞内Ca濃度増加を一部抑制した。【考案】心不全患者の心筋において、酸化ストレス発生が充進しており、その産物であるHNEは、NADPH oxidase由来の活性酸素発生を介して心筋細胞においてCa過負荷を引き起こした。 検討2【目的】実際にHNEが心室性不整脈・心室細動(VF)に関与するかどうかBrugada症候群の心筋組織において検討した。【方法】Brugada型心電図の患者の心筋組織におけるHNEeの量とVFの発症について検討する。【結果】SCN5A遺伝子変異を持たない患者においてはVFの有無と心筋HNEの量に関係がなかったが、SCN5A遺伝子変異を持つ患者においては、VF既往患者の方が既往のない患者にくらべ、HNE量が多かった。【考案】Brugada症候群患者において、VF陽性例の心筋で酸化ストレスが増大していた。酸化ストレスがVF発症に関与する可能性が考えられた。 上述の結果は、Cardiovasc Pathol(In press)にて報告した。
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