研究分担者 |
石神 浩徳 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (80372382)
武井 芳樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10372369)
金沢 孝満 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10376444)
風間 伸介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401098)
釣田 義一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80345206)
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研究概要 |
【目的】1.潰瘍性大腸炎(UC)・クローン病(CD)症例と他の炎症関連疾患(大腸癌、急性虫垂炎、憩室炎など)との相違2.炎症性腸疾患(IBD)における新たな臨床的重症度判定予測因子3.炎症性腸疾患の新たな治療法のため病因解明を目的として、血清アディポネクチン(ADP)濃度と臨床的活動度・血中白血球数・CRPとの関連について検討 【対象と方法】IBD、大腸癌、虫垂炎、憩室炎症例について〔検体採取〕血清、随時尿、畜尿、手術症例の切除組織〔検体処理・測定〕組織からの蛋白抽出、RNA抽出、血清中・尿中ADP測定 【結果】症例総数34例,UC18例(男/女6/12,中央値43.5),クローン病8例(5/3,31.0),他の疾患8例(4/4,63.5)。1.総ADP濃度の中央値は疾患により有意差なし(UC5.33、CD5.17、他4.34)、性差なし、年代差なし。高分子、中分子、低分子、ADP濃度は、総ADP濃度に相関していたので上記同様有意差なし。2.IBD症例では、臨床的に重症症例やWBC,CRP,ESSRが高値の症例で総ADPがより低値の傾向があった。CRP高値で急性炎症期であった急性虫垂炎・憩室炎群では傾向を認めなかった。3.UCとCD症例の再燃症例では、総ADP濃度が経過中にわずかであるが変装した。臨床的重症度、CRP値と、総ADP濃度とは逆比例した。 【考察】IBDの急性期には、炎症の程度とADP分泌は逆相関していた。さらに重症UCにおいては、APDはよりdown regulationされている可能性がある。興味深いことに、より慢性的な活動度の高いCDではADPは逆にUP regulationされている傾向があり、今後の研究によりCDのUCとの相違、他の炎症関連疾患とIBDとの相違をアディポサイトカインの制御で説明できる可能性が示唆された。
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