研究課題/領域番号 |
19659456
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金子 道夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60152807)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 難治性小児悪性固形腫瘍 / 神経芽腫 / CPT-ll / 耐性克服 / ヌードマウス移植腫瘍 / Celecoxib / CPT-11 |
研究概要 |
筑波大学小児外科で樹立したヌードマウス移植ヒト神経芽腫全てに対し、イリノテカン(CPT-ll)は単剤で高い抗腫瘍効果を示した。さらに、CPT-llの低用量・連日投与は高用量・間欠投与と比較して、同等かそれ以上の抗腫瘍効果を有し、その腫瘍増殖阻害は本来の作用であるDNAトポイソメラーゼI阻害とは異なって、VEGFの発現抑制と密接に関連していた。しかし、CPT-ll単剤では腫瘍の完全消失には至らなかった。近年、特に非ステロイド系COX-2阻害剤が関節リウマチなどに対する消炎・鎮痛作用に加えて腫瘍増殖抑制や血管新生抑制作用も有することが萌らかとなった。また、COX-2は多くの神経芽腫でステージに無関係に高発現し、非ステロイド系COX-2阻害剤がヌードラット移植神経芽腫細胞の増殖を強く抑制したとの報告もなされた。そこで、我々は3系統のヌードマウス移植ヒト神経芽腫を用いて、低用量CPT-llと、臨床的に妥当な低用量Celecoxibとの併用・連日投与を行った結果、低用量Celecoxib単剤では全く抗腫瘍効果がなかったが、CPT-llとCelecoxibとの併用・連日投与では3系統全てでCPT-ll単剤をはるかにしのぐ相乗的な腫瘍増殖阻害効果を示した。ことに高度に多剤耐性の神経芽腫移植腫瘍1系統では、併用投与終了後も腫瘍は縮小し続け、腫瘍倍加時間はCPT-ll単剤の揚合の約4倍に延び、治療終了80日後でも再増殖を認めない例もあった。免疫組織学的解析およびタンパク発現解析の結果、CPT-ll単剤の場合に比べてCPT-llとCelecoxibとの併用投与で腫瘍細胞の更なる増殖抑制とアポトーシス誘導の増強が引き起こされることが確かめられた。併用による抗腫瘍作用の増強は必ずしも腫瘍のCOX-2発現レベルとは関連していなかった。実験を通じて深刻な副作用は認められず、マウスの死亡も全くなかった。以上から、低用量Celecoxibは低用量CPT-llの頻回投与による抗腫瘍作用を相乗的に増強する非常に有望なmodulatorであることが明らかとなった。
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