研究概要 |
1.マウスの熱傷負荷後敗血症モデルによる検討:IL-18投与群の生存率(92%)は熱傷単独群(43%)よりも有意に高く(p=0.03)、IL-18投与により熱傷単独群よりも、TNFαの肺内mRNA発現量は有意に抑制され、組織学的にもALIの改善を認めた。肺サイトカイン含量(TNFα,MIP-2,INFγ,IL-12,IL-4,IL-10)は、IL-18投与によってIL-10を除いて一様に抑制された。 2.IL-18作用機序の検討:熱傷負荷群、熱傷+IL-18治療群よりそれぞれ脾細胞を採取し、抗CD3抗体、LPS刺激に対する反応を検討した。IL-18治療群では、LPS刺激後のTNFα、MIP-2産生量が有意に抑制され、遺伝子発現の解析でも同様の結果であった。さらに、未処置マウスより採取した脾細胞を種々の濃度のIL-18と培養し、LPS刺激に対する反応性を検討したところ、IL-18100μg/mlでは、30Fg/mlに比しMIP-2産生が有意に抑制されることがわかった。しかし一方で、IL-10産生誘導は認められず、invivoでは、IL-18が未知の経路により単球系細胞からのIL-10産生を誘導していることが推測された。 次に単球系培養細胞MonoMac6を種々の濃度のIL-18共存下で培養し、(1)LPS刺激後のIL-8,MCP-1産生、同遺伝子発現、(2)NOD1,NOD2,TLR4の遺伝子発現を検討した。IL-8,MCP4産生量は、IL-18の濃度が0,400pg/mlの場合において、生理的濃度である60,100pg/mlに比し、増加傾向にあり、遺伝子発現も同様の動態であった。次にIL-18濃度依存性の刺激伝達系因子の変動を検討したところ、NOD1、NOD2、TLR4のいずれも濃度依存性に発現が変動することがわかった。
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