研究課題
萌芽研究
炎症と骨吸収を抑制する効果を持つ薬物、すなわち炎症性骨吸収治療薬が開発を目的として以下の研究を行った。RANK/RANKL情報伝達システムは破骨細胞増殖・分化機構のキーファクターであるがRANK/RANKL情報伝達経路において、従来のNF-kB1(p50/p65)が核移行する古典的シグナル伝達経路以外にNF-kB2(P100/P52)/RelB複合体が転写活性を担う非古典的(オルタネイティブ)シグナル伝達経路が破骨細胞に存在することが明らかとなった。そこでNF-kB inducing kinase(NIK)に突然変異を起こしたAly/Alyマウスを用いてフェノタイプ解析を行ったところ、Aly/Alyマウスでは骨量の増加が認められ軽度の大理石骨病様の病態を示した。破骨細胞数の減少も認められ、NIKの異常が骨吸収抑制を引き起こすことが確認された。さらに骨吸収活性に関連するまた機能タンパク群(CathepsinK,RANK, ACPsae,MMP-9,CTR)メッセージの低下や、RelB, P52の核内移行が減少していることを確認した。さらにAly/AlyマウスにLPSを投与して炎症性骨吸収を惹起させたところ、野生型マウスに比較して骨吸収活性の低下が認められたことから炎症による骨吸収の増強が抑制されることを認めた。またin vitroの破骨細胞形成においてNIKを阻害する薬物を用いて検討を行ったところ、破骨細胞様細胞の減少と骨吸収窩形成能力が減退していた。以上の結果により、によりNIK-NF-kBのオルタネイティブ・シグナル伝達経路が、古典的シグナル伝達経路同様に破骨細胞形成あるいは骨吸収能力に重要であることが示唆された。このことからNF-kBのオルタネイティブ・シグナル伝達経路を新規薬物標的とした炎症性骨吸収治療薬開発の可能性が示された。
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