研究課題
萌芽研究
平成20年度の本研究の成果は、拘縮手のある臥床患者の手指の衛生状況は健常者に比較し著しく汚染しているという平成19年度の結果に基づいて手浴用べースン(A・B)を試作したことである。ベースンAの製作の特徴は、手浴の経験豊富な臨床看護師の方々を交えて(1)安全性(安定感)、(2)患者・実施者の安楽性(拘縮手の入れやすさ、洗いやすさ)、(3)使い勝手(簡便性)、(4)効率性(準備や後始末、収納)の観点でブレーンストーミングを行い形状の検討をしたことである。さらに人間工学の専門家との共同研究とし、具体的な寸法を男女高齢者の95%タイル値(通産産業省1994)を参考としたこと、ベッド上のスペースを考慮したこと、収納スペースを考慮しスタッキングできること、見た目が美しいデザイン性を重視したことである。このベースンAは特許出願(出願者中田弘子・小林宏光)をした。ベースンAの有用性を検証するため、臨床の看護・介護スタッフの方々にモニターと評価用紙への記入を依頼した。その結果、のべ138名の対象に研究参加の同意が得られた。ベースンAの安全性の観点からは約60%の対象から効果有りと評価が得られた。しかし、患者・実施者の安楽性の観点では効果有りとしたのは40%程度であった。多様な療養患者をケアしている臨床においては、1種類の用具だけではすべての課題をカバーする用具とはなりえず、ケア用具のさらなる検討・開発の必要性が示唆された。この課題を解決するために、より汎用性の広いベースンBについて現在試作中である。引き続き有効性の検証を継続する予定である。
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日本看護技術学会誌 8巻2号(印刷中)
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