配分額 *注記 |
22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)
2008年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
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研究概要 |
神経細胞はシナプス入力を活動電位に変換することにより,情報を符号化する.しかしながら,活動電位が神経細胞のどこで発生するのか,さらにその部位が神経細胞の情報処理にどのような意味をもつのかについては明らかでない.トリの大細胞核(NM)は音の時間情報処理に関わる. NM には周波数局在があり,聴覚情報は特徴周波数(CF)領域毎に処理される.さらに,NM ではシナプス入力の数とサイズがCF に応じて異なり,低いCF の細胞ほど多数の小さな入力を受ける.従って本研究では,NM において活動電位の発生部位をCF 領域毎に調べ,その聴覚情報処理に果たす役割を検討した 初年度には,電気生理学的手法と組織形態学的手法を用いて,NM 細胞における活動電位の発生部位が細胞体近傍の軸索起始部であることを示し, さらにそこでのNa チャネルの発現量が低いCF 領域ほど高いことを明らかにした.次年度には,コンピューターシミュレーションにより,その機能的意義を検討した.その結果,低いCF 領域の細胞においてNa チャネルの発現量が高いことは,多数の小さな入力が加重する際に生じるNa チャネルの不活性化の影響を減少させることにより正確な時間情報処理を行う上で重要な役割を果たすことを明らかにした.さらに以上の結果から,神経細胞では活動電位の発生部位とそこでのイオンチャネル発現がシナプス入力に応じて細胞毎に精巧に調節されることにより,細胞機能が最適化されていることを明らかにした.
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