研究課題
若手研究(A)
生殖隔離は種分化において重要な役割を果たす。本研究では、日本型イネ品種コシヒカリとインド型イネ品種ハバタキの雑種後代を用いて、生殖隔離の一種である雑種崩壊について解析を行った。遺伝学的解析から、この雑種崩壊は、ハバタキ由来のhbd2とコシヒカリ由来のhbd3との相互作用によって引き起こされることが明らかとなった。また、連鎖解析を行ったところ、hbd2は第2染色体の100cMに、hbd3は第3染色体の60cMに座乗していた。さらに、ポジショナル・クローニングによる遺伝子単離を進めた結果、hbd2はCasein Kinase I(CKI1)をコードすることが明らかとなった。形質転換体を用いた解析により、hbd2-CKI1は1アミノ酸置換による機能獲得型変異を引き起こしていることが明らかとなった。またhbd3については、植物において免疫反応に関わるNBS-LRR遺伝子のクラスタ領域に座乗することが明らかとなった。そこで、免疫反応のマーカー遺伝子の発現解析を行ったところ、この雑種崩壊で見られる弱勢表現型は自己免疫反応によって引き起こされていることが明らかとなった。本研究の結果は、植物における生殖隔離の分子および進化的機構に新たな知見を加えることとなった。
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Molecular Genetics and Genomics. 283
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