配分額 *注記 |
26,910千円 (直接経費: 20,700千円、間接経費: 6,210千円)
2009年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2008年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2007年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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研究概要 |
我々は,担癌患者および担癌マウスにおいてNKT細胞の低反応性が存在することを見いだし報告した.実験動物において,担癌宿主ではCD11b陽性Gr1陽性の細胞集団が増加しており,それらの細胞集団が産生する一酸化窒素がNKT 細胞の低反応性に関与していること,さらに,all trans retinoic acid (ATRA)を投与することによってそれらの低反応性を解除することが可能であることも報告した.本研究において,実験動物におけるCD11b陽性Gr1陽性の細胞集団がヒトのリンパ球ではCD33陽性CD14陰性CD11b陽性を示す細胞集団で評価可能であることを確認し,担癌患者において,NKT 細胞の機能が低下する原因がこの細胞集団であることを示した.さらに,ATRAを用いることによって,担癌患者のNKT 細胞の機能回復をin vitroで回復すること可能であることがわかった.担癌患者において増加しているCD11b陽性Gr1陽性の細胞集団には,健常人のそれに比べてVEGFが発現している傾向を認めたが,FOXP3に関しては,担癌患者と健常人各々において有意な発現は認められなかった.分子標的薬(抗VEGF 抗体)使用前の担癌患者におけるCD33陽性CD14陰性CD11b陽性細胞集団の数は,分子標的薬使用後に減少する傾向を認めた.これらの結果,我々が報告しているATRAやレチノイン酸,G-CSFに加えて,すでに大腸癌治療に使用されている抗VEGF抗体が担癌患者の免疫抑制状態を軽減することに寄与する可能性があることがわかった.この成果は,NKT細胞を用いた臨床試験を開始していくうえで重要な基礎研究結果となると思われ,さらには,大腸癌をはじめとした様々な癌腫への治療の選択肢が増やせるものと考える.
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