研究課題
若手研究(A)
本研究は、臨床助産師の臨床教育・指導能力向上のための教育法を開発し、卒後研修の充実を図ることを目的としている。この目的を達成するため、新卒助産師が独り立ちするまでの卒後研修における、助産師臨床教育・指導能力向上のための教育プログラムを開発する必要があり、そのための文献検討を、平成19年4月〜同年9月に行った。その結果「日本の助産ケアおよび助産師教育の歴史的推移」「国内の新卒者教育の動向」「妊娠・分娩・産褥・新生児期における助産師に必要な知識・技術・態度および出産経験者のニーズ」の観点から、見解が得られた。我が国の助産師教育課程は、様々な養成機関でなされており、専修学校や短大専攻科での教育から大学や大学院での高等教育に移行している。しかし、新卒助産師の実践能力の低下が指摘され、助産師は、妊娠・分娩・産褥・新生児期において自立したケアを提供しなければならず、産科医師の不足に伴い、ますます役割が拡大する傾向にある。また、妊産婦とその家族が安全・安心・満足のいく分娩が体験できるような学習環境・指導体制の整備がより一層重要であると示唆されている。助産師に現在求められる活動領域は、妊娠・分娩・産褥・新生児ケアのみならず、出生前診断・生殖補助医療・児童虐待・ドメスティックバイオレンス・家族計画・思春期ケア等、多様化しており、様々なニーズに対応できる助産師を養成できるよう、各教育施設では、学習到達度を明らかにする必要がある。その後就職した分娩施設でも、多様化するニーズに対応できる助産師を育成すべく、卒後教育も重視されていることがあきらかであった。しかし、現段階で、効果的な卒後教育プログラムが存在しないことも明らかであった。研究再開後は、今までの文献検討をより深め、助産師卒後研修に関する実態調査を行う予定である。