研究概要 |
本研究では,エラーの認知処理過程において正誤判断に利用する情報の起源と主観的強度と起源を操作し,エラー処理に関与する脳部位を明らかにすることを目的とした.その結果,予測段階で自身のパフォーマンスに関する評価が曖昧,且つ正解と考えた場合に特異的な現象として右前頭-側頭領域の緩電位成分であ刺激前陰性電位(SPN)の抑制が認められ,エラー関連電位(ERN)とフィードバックERN(Fb-ERN)では,発信源の差異が認められた. Fb-ERNは従来の知見どおり,前部帯状皮質(ACC)が発信源と推定されたのに対し,ERNはACCに加え,眼窩前頭皮質の関与が認められた.本研究の成果として,エラー回避は予測-評価段階に渡って客観的な正誤評価と主観的な正誤判定の重要度という二つの判断基準によって制御され,失敗後の行動変化が同様な場合でも異なる制御機構による再学習が生じる可能性が示された.したがって,両電位の機能的意義は異なるものと推測された.
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